衝突の一九三人、死傷等の一六七人が目立ち、同様に船舶の種類別にみると、漁船の二二七人、旅客船の二〇七人が目立っている。
5、 外国船が関連した海難の発生の状況
七年において、外国船が関連した海難は二二五件(海難給件数の二・六%)、隻数は二四二隻(海難総隻数の二・四%)であり、前年と比べると、件数で二一件、隻数で一〇隻の増加であった。
水域別の発生状況は、我が国の領海内で発生したものが一一七隻で、前年に比べ一八隻増加し、領海外で発生したものは六五隻で、前年に比べ八隻の減少であった。
<注>領海内で発生した事件には、外国船単独または外国船同士のものも含むが、領海外で発生した事件は、日本船が関係しているもののみである。
6、 プレジャーボート海難の発生の状況
プレジャーボート(モーターボート、水上オートバイ、ヨット、ボートの総称)関連の海難は、五年には一度減少したものの六年、七年と再び増加傾向にある。
海難の原因(第五章)
海難原因
海難は種々の要素が複雑に絡み合って発生することが多いため、海難審判法は、第三条において、審判により、次の各事項にわたって探究することを求めている。
@人の故意または過失によるものかどうか。
A乗組員数、資格、技能、労働条件等にかかる事由によるものかどうか。
B船体・機関の構造、材質、工作、性能等にかかる事由によるものかどうか。
C水路図誌、航路標識、気象通報、救難施設等の航海補助施設にかかる事由によるものかどうか。
D港湾または水路の状況にかかる事由によるものかどうか。
審判の結果、海難審判庁(合議体)は、裁決で認定した海難の事実とともに、当該事件の海難原因を示しており、一件の海難事件について複数の原因を示すこともある。
この章では、平成七年に裁決によって示した海難原因を取りまとめ、系統的に分類することによって、海難の特徴と傾向を示すことにする。
地方海難審判庁の裁決における海難原因
平成七年に地方審判庁は八〇九件の裁決を行い、その裁決の対象となった船舶は一、一七七隻で、このうち、自力航行ができない被引状態または被押状態の船舶を除いたもの(以下「裁決隻数」という)は一、一三二隻あった。
このうち、五九隻は、適切な行動をとったにもかかわらず、他船に衝突されたなど当該海難の原因にならないとされ、それを除いた一、〇七三隻の海難原因総数は、一、五一六原因数になる。
1、 事件種長別の海難ン原因
裁決件数の多い衝突事件、乗揚事件、機関損傷事件について、その海難原因を見ると、次のとおりである。
(1)衝突事件の海難原因
衝突事件については、三一二件(裁決隻数六三一隻)の裁決を行い、その中で七六六原因を示している。裁決隻数六三一隻中、当該海難の原因とならないとしたものが五九隻あった。
海業原因の主なものをみると、「見張り不十分」が四〇〇原因数(五二・二%)と最も多く、次いで「航法不遵守」が一四五原因数(一八・九%)、「信号不吹鳴」が八○原因数(一〇・四%)となっている。
(2)乗揚事件の海難原因
乗揚事件については一七五件の裁決が行われ、当該裁決によって示された海難原因は二〇一原因数あり、それを分類別にみると「船位不確認」が五四原因数(二六・九%)と最も多く、次いで「居眠り」が五二原因数(二五・九%)、「水路調査不十分」が二五原因数(一二・四%)、「針路の選定・保持不良」一七原因数(八・五%)、「服務に関する指揮・監督の不適切」が一三原因数(六・五%)などとなっている。
このうちの「船位不確認」と判断された五四隻について、そのときの状況をみると、これらの約六三%が晴れ等の見通しの良いときに乗り揚げており、他船を避けた、
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